20170325

memoryscapes

この町には、大きな公園があって、家の目の前には竹林があって、夕方には窓からなつかしい風の入ってくる、そんな場所だった。

アトリエと家を引っ越して、もうすぐ1年が経つ。

すりガラスの模様、庭に咲いているクリスマスローズ、伸びっぱなしの月桂樹。

今のこの気持ちをかたちにしたいなって、ある時ふと思ったのは、自分のこころにどこかしっくりくる何かを感じたのがきっかけだった。


こころにどこかしっくりくる何か、の正体は、なんだろう。

美しさを感じられるもの、なつかしさに心をうたれるもの、知らなかったのに知っているような気になること。

そう思えるこころを形作ったもの。

それは、記憶の引き出しにしまわれっぱなしの、いつか見た原風景だった。


ぼくにとっての原風景は、故郷でもある新潟の風景。

彩りに満ちた秋の色彩。

光と雪と影の、モノクロームの色彩。

よろこびとさびしみは、美しい風景を連れて、順番にやってきては、また、去っていく。
どこにいたって、季節は旅をしていて、ぼくらはそれを目撃する。

この場所で出会った、いつか見た景色。




















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